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Vol.3 リレーインタビュー マルディグラ 和知 徹さん

Vol.3 マルディグラ 和知 徹さん

和知(わち)徹さんは、骨太なフレンチ?で異彩を放つ「マルディグラ」のオーナーシェフです。興味津々でお会いして早速お聞きしたところ、蟹座のA型ということで、グルたまの予想は的中!?優しい風貌に、思わず話しも弾みました。

ということで、まずはお店の名前の由来から…。
お店の名前「マルディグラ」は謝肉祭の断食前日のお肉をいただく日、ニューオーリンズではリオのカーニバルに匹敵する規模のお祭りが開かれます。そこには様々な国の人たちが国境や文化の枠を越えて集まり、一つになって音楽やパレードで盛り上がります。
今回も盛りだくさんのリレーインタビューです。では、第3回をお楽しみ下さい。


 

 1.スタイルの原型
 2.銀座の空気を
 3.内装はシンプル、料理はお祭り!
 4.こだわりの逸品

 


  


1、スタイルの原型

グルたま(インタビュー担当スタッフ・以下同):

今日はよろしくお願いいたします。まず、この世界に入ったきっかけから教えてください。

 

和知(敬称略・以下同):
調理師学校に行っていたんですがフランスに分校のある学校だったのでパリの2つ星レストラン「ビバロア」で1年はたらくことが出来ました。卒業後、広尾の「ひらまつ」に入って本格的に料理の道を歩き始めました。「ひらまつ」には結局10年お世話になりました。

 


グルたま:

いろいろな経験をされたのでしょうね。


和知:

そうですね、日本で初めてのオープンカフェの立ち上げやイタリア料理のお店を担当したりもしました。そうそうフランスにも何度か行かせてもらいました。


グルたま:

「ひらまつ」の技術やスタイルを身につけられたのですね?


和知:

実は自分はいろいろな事に興味を持ってしまうタイプで…やりたいことが次から次へと湧いてくるんです。実際「ひらまつ」にいたころからこの興味を試したりしていました。レシピをいじってみたり、なかにはフレンチらしからぬこともやっていました。


グルたま:

やんちゃなシェフだったのですね!その後はどうされたのですか?


和知:

枠にはまりたくないと考えていたときに銀座の三原小路でレストランを経営されているオーナーとの出会いがありました。「ひらまつ」をやめて「グレープガンボ」というお店に3年間お世話になることになります。入り口に小さい明かりが一つだけある、木造一軒家風のお店でした。知っている人しか入ってこられない雰囲気でしたが、銀座ではもののわかる方にきていただければいいというオーナーの考えでした。


グルたま:

いい出会いだったのですね。


和知:

はい、このオーナーは音楽好きだったので、話をするうちに音楽の知識もふえましたし、「音楽+食=楽しい」という方程式が頭に浮かんできたのです。

ニューオーリンズにめざめたのもこのころです。現地のライブハウスを訪ねて、グラミーを受賞した歌手の歌を聴きながら食事をしたのですが、その時以降この方程式のスタイルを練り上げたいと強く考えるようになりました。お店の名前もニューオーリンズのマルディグラのお祭りから取っていますし、なかなか充実した時期だったと思います。


グルたま:

和知スタイルの原型はこの辺に起源がありそうですね。

 

 

2、銀座の空気を

グルたま:

そしてこの「マルディグラ」を開店なさるわけですね。

 

和知:

「グレープガンボ」で3年働くうちに「フランス料理を軸にプラスいろいろな要素」という自分にとっての一 つの形が出来てきました。そしてそれを自分の店で試したいというのはとても自然な流れだったと思います。オーナーもとても理解のある方で、私のわがままを 快く了承してくれました。

 

グルたま:

音楽やお店の演出などとともに本当にオーナーさんとはいい関係だったのですね。開店までは順調でしたか?

 

和知:

このお店は探し始めて一年以上かかりました。いいところは空かないものですね。ここも“広さ”が足りない ことからはじめはデータだけで飛ばしてしまっていましたが、ふとしたことから一度見てみようかと。大家さんが「お多幸」さんなので飲食に理解があるかなと いうことと、「LINTARO」さんの推薦もあり決めました。ここは昔「柳」というカツサンドが有名な洋食屋さんで、30年やってやめたところでした。

 

グルたま:

そういえば、ここの1階は「お多幸」さんですね。確かオーナーは組合の副理事長の野田さんですし、5丁目の「LINTARO」さんもオーナーの水原さんは組合の副理事長ですから、組合とは浅からぬご縁ですね。
そして、実際銀座でお店を初めてみていかがでしたか?

 

和知:

そうですね…「ひらまつ」以来コースしか注文されないお客様に慣れていたのであれやこれやと注文をさばく のが大変だった印象です。銀座という街のお客様はメニューにないものを平気で頼みますからね、例えば「野菜を少し切って炭焼きにして出して」などと。こち らも基本的にはお受けすることにしています。はっきり言ってお客様に鍛えられたと思っています。

 

グルたま:

なるほど、銀座のお客様は油断ならないですね。

 

マルディグラ

和知:並木通りに店を構えてわかったのですが銀座のこの辺はご存じの通り夜中まで酔客であふれていますが、毎朝本当に きれいにお掃除されてちゃんと再生する、そしてまた新しいお客様を迎えているんですよ。こんなにきれい好きな繁華街は日本のみならず世界にもまれじゃない かと思っています。食事をして外に出ると他の街では興ざめしてしまいますが、銀座の街の雰囲気は余韻を長引かせてくれると思います。

 

 

3、内装はシンプル、料理はお祭り!

グルたま:

お店の入り口は看板も控えめでわかりにくいですね。

 

内装はシンプル、料理はお祭り!

 

和知:

そうですね、以前お世話になったお店のポリシーをうけついでいるというか、大きく看板だしても粋じゃないし……普通に歩いていたら見逃してしまうかもしれませんね。
グルたま:

店内は天井も高く気持ちのよい空間ですね。

 

店内は天井も高く気持ちのよい空間

 

店内は天井も高く気持ちのよい空間

 

 

和知:

内装自体はシンプルにしています。出来たときからとけ込めるような、味のあるものにしたいと考えたんです。今では料理の多様性をしっかり受け止めてくれているかなと自分でも気に入っています。

 

グルたま:

料理の多様性という言葉が出ましたが。

 

和知:

ニューオーリンズの話をしましょう。ジャズ発祥の地と言われていますが、私の説ではジャズは近代洋楽のも とですから音楽的に見れば今の世界の音楽の中心といえます。人種的には黒人が多いですがフランス人やイタリア人も沢山います。料理はもちろんスパイスに 至ってはアフリカやインドのものまでごちゃまぜ!まさに「お祭り」さながらの街なんです。ですから日本人も入って行きやすい雰囲気ですよ。

 

グルたま:

また、「マルディグラ」さんでは素材もいろいろ揃えられているんでしょうね、例えばお肉だと何種類くらいありますか?

 

和知:

今は14種類くらいですか。時によっては20種類くらいのときもあります。牛・豚・鶏・羊・鴨・鳩・兎・ うずら・ダチョウ・鹿・猪・馬・かえる等ですね。牛は岩手、関西、茨城、ハンガリー、豚は北海道、フランス、鶏はフランス、茨城、フォアグラもフランスに 加えハンガリーからも。なかなかいいんですよ。野菜は銀座のお客様からのニーズがありますのでいろいろと…産直は岩手、静岡など。あとは築地には全国の オーガニック野菜が集まりますので嬉しいです。魚は活きたものを入れています。日本人は魚が好きですから。実はお金をかけて結構こだわっています。

 

グルたま:

仕入れに関しても沢山のルートをお持ちのようですね。

 

和知:

これは20年の蓄積でしょう。足で回って探しているなかでおつきあいが少しずつ増えていって今ではいい関係のところが日本中にできました。

 

 

4、こだわりの逸品

グルたま:

ところで和知さんのお好きな食材はなんですか?

 

和知さん:

好きなものは年とともに移ろうものだと思いますが、とにかく豚が好きです。世代的にも昔からなじんで きましたから。とんかつやポークカレーを食べて育ってるんです。また、豚は焼いてもパテにしてもソーセージにしてもいいし、加工する楽しみが広がります。 ソースのバリエーションなども含めて追いかけやすい食材で興味は尽きません。うちでは毎日ソーセージやベーコンなどなんかしら作っていますよ。

 

 

豚肉のソテー

 

 

グルたま:

と言うことで、こだわりの逸品は豚肉のソテーですね。

 

和知:

これは岩手産の無菌豚で、塩・胡椒・ハーブで焼いたものです。日本的なポークソテーに仕上げていますが食べ飽きないシンプルな味わいで、お店作りのコンセプトと共鳴する一品です。

 

岩手産の無菌豚で、塩・胡椒・ハーブで焼いたもの

 

グルたま:

とてもやさしい、それでいてとてもコクがあって味わい深いおいしさです。おっしゃる意味がよくわかり ます。見た目しつこそうな脂の部分も歯ごたえがしっかりしていて驚くほどさっぱりしています。まさにこのお肉を知り尽くした和知さんならではだと思いま す。この料理にはどんなパンが合うのでしょう?

 

和知:

うちではやさしいお肉には岩塩を使用した食パンやローズマリーを利かせたフォカッチャを、野性味のあるお肉にはしっかりした田舎風パン、パテにはカンパーニュといった感じで食材に合わせた提供をしています。

 

グルたま:

パンもこだわっているのですね!

 

和知:

パンは粉と水にこだわると確実に美味しくなりますよね。フォカッチャは普通イタリアの小麦ですがいまは国 産を使用しています。粉は20キロ単位で来るので保存も大変でなかなかこだわり切れてないんです。本当は専用のオーブンも買いたいし。例えばコントレック スのような硬い水とイタリアの粉で焼くと味わい深くて本当においしいパンが焼けるんですよ!

 

グルたま:

その辺は今後のテーマと言うことですね。本日はどうもありがとうございました。

(お若いながら沢山の経験とともに自分のやりたい方向性をしっかりもたれている和知さん。話をされている間終始笑顔をたやさずにこやかにソフトに応対していただきました。パンの貴重なお話も聞けてご機嫌なグルたまでした!)

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