みなさんがご存知かどうか分かりませんが、日本全国には“ナニナニ銀座”と名づけられたご当地銀座は、ざっと400箇所もあったそうです。これはだいぶ前の数字ですから、21世紀の今はもっと減っているかもしれませんけれどもね。

北海道の岩内銀座から南は鹿児島県あたりまで、全国の人々が憧れをもって、銀座という名前を各地の商店街につけてくれたのだと思います。ありがたく思います。
銀座は、全国の商店主さんたちのそういう気持ちを凝縮したような街です。
私ども店をやっている者も、お客さまも、銀座に来ると背筋がこう、ピンとする。いい意味で緊張するんですよ。
「銀座は敷居が高い」とかなんだとかおっしゃる方がいらっしゃいますが、改まる気持ちって大事にしたいじゃないですか。
この間、銀座のある若旦那の講演会を聴きに行きましたら、いいこと話してくれました。
「銀座の店は最初にいらしたときは普通のお客さん、二度目つまり“裏を返す”という礼を尽くしてもらって、そして三度目にいらしたらお馴染みさん」。こうなんですよ、昔から。
お店も人も、時間をかけて知り合う。だから長続きする。こういう銀座に長くいると、ちょっと緊張感あるここの風が、心地よく感じられるようになります。