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Vol.1 リレーインタビュー 銀座 寿司幸本店 杉山衛さん

Vol.1 銀座 寿司幸本店 杉山衛さん杉山さんは銀座で120年以上続く、日本を代表する寿司店“寿司幸本店”の4代目。はじめに4階のお座敷にお邪魔してご挨拶しましたが、女性スタッフもいるからとすぐに掘り炬燵式の席をお取りくださるお気遣いをいただきました。組合のインタビューということで、リラックスした雰囲気の中、普段伺えないような興味深いお話や思い入れについてお話しいただき盛りだくさんの内容となりました。全体を4つの章に分けて掲載しましたのでどうぞお好きなところからご覧ください。

 


 

 

 

 


 

 

1、来るものは拒まず、去るものは追う!

グルたま(インタビュー担当スタッフ:以下同):

さてまず銀座の街とはどんなところなのでしょう――――

 

杉山(敬称略:以下同):

銀座は細胞の活性化が進むようにお店も新陳代謝が激しく、このことが逆に銀座の

いいところになっています。ベテランと新人のうまくかみ合っているような…野球でも、優勝するチームはこんな切磋琢磨が好結果を生んでいますね。

 

グルたま:

銀座ほど多くの飲食店が軒を連ね新しいお店もたえず開店している中で、これだけ長い間お客様に愛され続けているのはなぜでしょう――――

 

杉山:

老舗だからといって古いものだけに固執していてはいけないと思うんです。
新しいお店に負けないくらい“あきられない”努力をしなくてはならない。
寿司店は間口が狭く、奥行きが深い、それだけ奥深い可能性を秘めています。
うなぎやふぐなどのお店は単品を一定水準以上継続していくことが大切ですが、寿司店の場合は30年同じものではだめで、「守る」ところと「攻める」ところをはっきりさせるべきです。

 

グルたま:

その「守る」べきポイントとは――――

 

杉山:

ずばり“あきられないようにする”ことです。実際寿司店は近くに星の数ほどありますから他へ行くことも容易です。くるものは拒まず、そして去る者は追わなくてはなりません。これは江戸時代から伝わる寿司幸の技術をふまえて祖父が著わしました本「すしの思い出」ですが、折に触れて読み返し、昔の技術を忘れないようにしています。そしてその技術の上に、日々さまざまなアイデアや改良を積み重ねています。

 

 

2、こだわりの逸品

こだわりの逸品

グルたま:

ここにこだわりの逸品として一巻握っていただきましたが――――

 

杉山:

この椎茸の握りはかれこれ80年くらいの歴史があるメニューです。生の椎茸をさっと焼いてお酒5:醤油1 の割り下にとおしてから焼いて乾かし、最後にゆずを2~3滴かけています。たとえばこのメニューでも昔は椎茸の黒い部分を上にしていましたが、祖父の代に握った形が阿波踊りやおわらの女性がかぶる笠に似ているため「裏返して笠にみたててだしたらどうか」といった改良がなされていまの形になりました。

 

グルたま:

なるほど、いただきますと口の中で味覚のあらゆる要素がバランスのよいハーモニーを奏でていて、歴史に支えられたレシピの完成度が伺えます。とくに椎茸の食感としゃりの一体感は素晴らしいと思うのですが、素材もやはり厳選されているのでしょうね――――

 

杉山:

素材はとても重要です。よく他のお店でいただいておいしかったものは味の再現をしてみるのですがここで素材が異なると同じく美味しい味にはなりません。

 

 

3、新メニューはこうして生まれる

グルたま:

他店の味も常に勉強されているのですね――――

 

杉山:

これが先ほど申し上げた「攻める」ところです。

 

グルたま:

そうして編み出した新メニューが次代の定番になるわけですね――――

 

杉山:いえ、なかなかそうは簡単にいかないものです。だいたい10年続くものは40~50個生まれた中の1個、20年続くものは100個に一個くらいのものです。

 

グルたま:なるほどわかりました。しかし、お話に出てくる単位が10年刻みなのは驚きですね。新しい試みをいくつかご紹介いただけますか。

 

杉山:

蛸や貝といった食材はフルーツや甘みとよくマリアージュします。蛸はハチミツ、岩塩、レモンと合わせてみるとおいしいですね、岩塩のカリカリ感がポイントです。また赤貝をいちごソースで召し上がっていただくとか、フルーツを使った試みをしました。ただ、いずれも言えることは好奇心だけではうまくいかないということです。1000個に一つ残るかどうかでしょう。

 

 

4、お客様とのこと

グルたま:

はじめからこのお店を継がれるおつもりだったのでしょうか――――

 

杉山:

いえ、はじめは兄が継ぐ予定だったのですが事情があり、大学の時に祖父から話をもらいました。ただこのとき「つぶしてもいいぞ、やりたいようにやれ」と言われたことでとても気持ちが軽くなったのを覚えています。あと古くからのお客様も多数いらっしゃっていて、めぐまれた環境でのスタートだったと思います。

 

グルたま:

そうして四代目を継がれたわけですが、お客様への接し方などで心がけていることはございますか――――

 

杉山:

ひと言で言えばファンを作ることが大事ですね。その秘訣はお客様から見てオンリーワンのお店になることです。ここで意識したいのがお客様がご利用になるシーンです。どなたとご一緒に、またどんな目的でご利用になるのか、お客様のご利用になるシーンに合わせた接客をこころがけています。一つ例を挙げれば、なりたての部長さんが部下の方とご来店されたとします。彼は“いい顔”がしたい時でしょうから精一杯持ち上げて差し上げる。また大きな会社の社長や会長がいらっしゃったときには、普段ペコペコされるのに慣れてらっしゃるからこそ懐に入った物言いで接してさしあげるとホッとされるようです。

 

グルたま:

古いお客様は杉山さんが応対されているのですか?――――

 

杉山:

いえ、その逆と言ってもいいですね。普通のお店は古いお客様を大事に扱い、新しいお客様をともすればぞんざいにしがちですが、常に新しい血をいれながら営業していかないと全体の客数は減っていってしまいます。うちでは新しいお客様はできるかぎり自ら受け持ちます。もちろん冗談などもまじえて明るい雰囲気を意識しながらやさしく応対させていただきますのでどうぞこのホームページをご覧になった方は一度ぜひお越しください。

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